LostPossessions (2015-2016)

これは、道端で見つけた落としものをインスタントカメラで記録した作品である。
QRコードにはその物が落ちていた場所を示すGoogle mapの情報を、
またタイトルには、撮影日時とその物が何であるかを記した。

かつての持ち主が何を考え、それをどのように扱い、そしてなぜその手を離れてしまったのか、
私はすでに知る事ができない。聞く事もできない。私にできるのは記録する事だけであった。
しかし、ゴミ同然に見えるこれらはかつて、誰かの生活の一部であり、或いは大切な思い出であり、
その人の領域を形成するパーツであったはずである。それが彼らの勢力圏外に放り出された時、
「もの」は意味を失ってしまうのだ。

意味を失ったそれらが、辛うじて纏っているかつての持ち主の気配に魅せられて、私はこの作品を制作した。

個人の領域を目に見える形で構成しているのは、「もの」であり、それは同時に、個性や自己主張の多様性、その背景、
内包している事情をも垣間見せる。
この作品で私は、見知らぬ誰かの領域につながる断片として、落し物に焦点を当てた。

IMPOSSIBLE社製インスタントフィルム
Camera;SX−70
AVA Magazine(P.10-11掲載)